
名古屋市の空き家実態調査はどうなる?所有者不明建物のこれからを解説
所有者不明の建物が全国で1000万棟超とも言われる中で、名古屋市でも空き家や所有者不明建物の実態が気になっている方は多いのではないでしょうか。
相続や転居のあと登記をそのままにしておくと、将来、売却や活用が進められないだけでなく、家族の負担が一気に重くなるおそれがあります。
一方で、国や法務省、国土交通省などは所有者不明土地・建物の実態調査や登記支援に本格的に動き始めており、名古屋市における空き家実態調査もその流れの中に位置付けられています。
この記事では、名古屋市の空き家・所有者不明建物はいまどうなるのか、国の調査や登記支援の中身、実態調査で何が分かるのかを整理しながら、不動産所有者や相続予定者が今から備えるべきポイントを分かりやすく解説します。

名古屋市の空き家・所有者不明建物はいまどうなる?
近年、全国的に空き家や所有者不明土地が増加し、行政や地域にとって大きな課題になっています。
人口減少や高齢化、相続後も登記名義を変更しないまま放置される不動産が増えたことなどが主な背景とされています。
国土交通省や財務総合研究所の資料でも、所有者不明土地の増加が公共事業や民間開発、防災対策を進めるうえで大きな障害になっていると説明されており、この流れは今後も続くおそれがあると指摘されています。
政府広報オンラインによると、「所有者不明土地」とは、不動産登記簿を確認しても所有者が判明しない土地、または所有者は分かっていても所在が不明で連絡が取れない土地を指すとされています。
さらに、所有者不明土地が全国の土地面積の相当部分を占め、その規模は一地方と同程度に達するとの試算も法務省から示されており、所有者不明の建物や空き家を含めると、その数は全国で相当数に上ると考えられています。
こうした不動産は、相続登記の未了や住所変更登記の放置など、登記手続が適切に行われてこなかった結果として生じており、今後の相続件数の増加に伴って、さらに拡大する可能性が高いとされています。
名古屋市でも、「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき空き家対策を進めており、空家等実態調査や特定空家等への指導などを通じて、管理不全の建物や所有者不明と見られる物件の把握が進められています。
実際に、市が特定空家等について所有者の調査を行っても所有者を特定できない事例が公表されており、所有者不明建物が防災上の危険や倒壊リスク、景観の悪化、周辺の不動産価値への悪影響などをもたらす懸念が示されています。
このため、名古屋市の空き家実態調査は、単なる戸数の把握にとどまらず、防災・治安・景観の観点から問題となる空き家を早期に把握し、不動産市場や地域の暮らしへの影響を抑えるための重要な基盤と位置付けられています。
| 項目 | 全国的な状況 | 名古屋市での位置付け |
|---|---|---|
| 空き家・所有者不明の増加要因 | 人口減少と相続登記未了 | 相続や転居後の登記放置 |
| 所有者不明土地・建物の問題点 | 公共事業や防災の支障 | 特定空家等による危険性 |
| 実態調査の役割 | 全国的な実態把握の基礎 | 管理不全空家等の特定 |
| 地域への影響 | 治安悪化と景観悪化懸念 | 生活環境と市場への影響 |
法務省の所有者不明建物実態調査と登記支援の中身
まず、所有者不明土地・建物の実態を把握するため、国は関係閣僚会議の下で工程表を定め、段階的に調査と制度整備を進めています。
国土交通省の資料によると、不動産登記簿だけでは所有者の所在が直ちに分からない土地は筆数ベースで約26%存在し、探索の結果でも最終的に所在不明となる土地が約0.26%あるとされています。
この状況を踏まえ、法務省・国土交通省などが連携し、登記記録の精度向上と利活用を図ることで、公共事業や民間取引が円滑に進む体制づくりを進めているのが現在の大きな流れです。
次に、所有者不明状態を解消するための法的な枠組みとして、「表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律」が整備されています。
この法律では、登記官が職権で実地調査や関係者への聞き取りなどの調査を行い、所有者等を探索できる権限が与えられました。
さらに、登記官の調査を補う所有者等探索委員の制度や、探索しても所有者を特定できない土地について裁判所が管理者を選任する新たな財産管理制度も設けられ、所有者不明土地・建物の管理と利活用を進める基盤が整えられています。
加えて、不動産所有者や相続人に直接関わる大きな仕組みとして、相続登記の申請義務化や登記情報の利活用が進められています。
相続登記は原則として相続開始から3年以内の申請が義務となり、代わりに「相続人申告登記」によって義務を果たす方法も用意されています。
また、相続登記義務化に合わせて、被相続人名義の不動産を一覧化して把握しやすくする「所有不動産記録証明制度」が導入され、2026年2月からは相続人等の請求に基づき、全国の不動産をリスト化した証明書が交付される予定です。

| 制度・施策 | 主な内容 | 所有者側への影響 |
|---|---|---|
| 実態調査と工程表 | 全国的な所有者不明土地等の把握 | 所在確認のための照会増加 |
| 登記官の調査権限 | 実地調査や関係者への聞き取り | 情報提供への協力要請 |
| 相続登記義務化等 | 相続登記3年以内義務と申告制度 | 早期の登記手続きが重要 |
| 登記情報の利活用 | 所有不動産記録証明制度の開始 | 不動産一覧把握で登記漏れ防止 |
名古屋市の空き家実態調査で何が分かり、どう活用されるのか
名古屋市を含む各自治体が行う空家等実態調査は、まず固定資産税情報や航空写真などから空き家と疑われる建物を抽出し、その後に現地で外観調査を行う流れが一般的です。
そのうえで、危険度や周辺への影響をチェックリストで判定し、必要に応じて所有者あてに意向調査やアンケートを送付して、今後の利用予定や管理状況を把握していきます。
愛知県のガイドラインでも、こうした実態調査とデータベース化を通じて、空家等対策計画の基礎資料を整えることが位置づけられています。
調査結果は、国土交通省が所管する空家等対策の推進に関する特別措置法に基づき、「管理不全空家等」や「特定空家等」の候補を把握するための基礎データとして活用されます。
倒壊や外壁落下のおそれ、ごみの放置による悪臭、不審者の侵入などが確認された場合、自治体は所有者に対して指導や助言、勧告などの段階的な対応を検討します。
一方で、構造的な安全性が高く、一定の修繕で利活用が見込める空き家は、売却や賃貸、地域福祉施設への転用など、活用策を検討する対象として整理されます。
こうした調査と整理の結果は、各自治体が策定する空家等対策計画に反映され、除却を優先すべき老朽危険空き家と、地域の暮らしを支えるために活用を図る空き家の両方について、施策の方向性が定められます。
また、所有者の所在が分からない建物については、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法などに基づく管理・利活用の枠組みと連動させながら、管理受託や利用権設定などの検討が進められます。
つまり、空家等実態調査は、単に数を数える作業ではなく、所有者不明建物を含めた地域全体の不動産ストックを、どのように安全かつ有効に活用していくかを考えるための出発点となっているのです。
| 調査段階 | 主な内容 | 活用目的 |
|---|---|---|
| 候補抽出 | 台帳や写真から空き家候補把握 | 調査対象の効率的選定 |
| 現地調査 | 外観確認と危険度判定 | 管理不全空家等候補把握 |
| 所有者意向把握 | アンケート等で利用予定確認 | 利活用策や指導内容の検討 |
名古屋市の不動産所有者が今から備えるべきポイント
まず押さえておきたいのは、「所有者不明化」は特別な人だけに起こる問題ではないということです。
相続登記をしないまま長期間放置したり、引っ越し後も住所変更登記をしないでいると、登記簿上の所有者情報と実際の所有者が一致しなくなります。
国は、相続登記がされず、所有者の所在が分からない土地や建物が全国的に増えていることを背景に、対策の工程表を示し、制度整備を進めています。
名古屋市で空き家や将来相続予定の不動産をお持ちの場合も、この全国的な流れと無関係ではなく、早い段階からの備えが重要になります。
所有者不明化を防ぐためには、相続登記と住所変更登記の早期実施が極めて重要です。
相続登記については、相続により不動産を取得したことを知った日から原則3年以内に登記申請を行うことが法律上の義務となりました。
また、住所や氏名を変更した場合には、令和8年4月1日から、変更日から2年以内に住所等変更登記を行うことが義務付けられます。
これらを怠ると過料の可能性があるだけでなく、将来、登記支援や各種公的な制度を利用しようとした際に、手続が複雑になり、時間や費用の負担が増えるおそれがあります。
さらに、所有者不明土地等対策は、空き家対策と一体的に進められており、国は「空家等対策の推進に関する特別措置法」の改正や、自治体による空家等対策計画の策定を後押ししています。
この流れの中で、国や自治体、法務局などには、空き家や所有者不明土地に関する総合的な相談窓口や登記支援の仕組みが整いつつあります。
名古屋市で不動産をお持ちの方や相続を予定されている方は、こうした公的な相談窓口を早めに活用し、登記や管理、活用方針について専門家と一緒に整理しておくことが大切です。
早期に動くことで、所有者不明化のリスクを抑え、将来の売却や活用、家族への承継を円滑に進めやすくなります。

| 備えるべきポイント | 主な内容 | 放置した場合の懸念 |
|---|---|---|
| 相続登記の早期申請 | 相続開始から3年以内申請 | 所有者不明化・過料の可能性 |
| 住所変更登記の徹底 | 変更日から2年以内登記 | 連絡不能・手続き停滞 |
| 公的相談窓口の活用 | 登記・管理方針の事前相談 | 制度利用遅れ・負担増加 |
まとめ
名古屋市でも空き家や所有者不明建物の把握と対策が本格化し、国の実態調査や登記支援と連動しながら進んでいきます。
放置すると管理不全や売却困難などのリスクが高まり、相続人にも大きな負担がかかります。
早めの相続登記や住所変更登記、名義整理を進めておくことで、新制度や支援を活用しやすくなります。
自分の不動産が将来どうなるか不安を感じた方は、調査や制度に詳しい私たちに、具体的な状況をお聞かせください。
現状の整理から今後の対策まで、わかりやすくサポートいたします。