名古屋市で相続した家を売らない選択とは?メリットとデメリットを整理して解説

西尾 太地

筆者 西尾 太地

不動産キャリア15年

名古屋市で相続した実家を、すぐに売るべきか悩んでいませんか。
そのまま住む、賃貸として貸す、あえて空き家として維持するなど、売らない選択にはさまざまなパターンがあります。
一方で、維持費や管理の負担、将来の相続トラブルなど、見落としがちなデメリットやリスクも存在します。
だからこそ、感情だけで決めるのではなく、名古屋市の制度や税制、空き家対策の動きも踏まえて整理することが重要です。
本記事では、相続した家を売らないメリットとデメリットをわかりやすく比較し、売る・貸す・持ち続けるの中から、ご自身の状況に合う判断軸を一緒に見つけていきます。

名古屋市で相続した家を「売らない」とは

名古屋市で相続した家を「売らない」という場合、まず考えられるのは、自分や家族がそのまま居住する形での活用です。
ほかにも、賃貸住宅として貸し出して家賃収入を得る方法や、将来の利用を見据えつつ空き家として維持しながら、定期的に管理する形もあります。
いずれも名義を相続人に変更したうえで、固定資産税や修繕費などの負担を続けながら所有し続ける点が共通しています。
このように「売らない」とは、手放さず保有しつつ、住む・貸す・維持するといういずれかの形で関わり続ける状態を指します。

一方で、名古屋市では、管理が不十分な空き家が防災や衛生、景観などの面で地域に影響を与える問題が指摘されており、「空家等対策の推進に関する条例」を定めて対策を進めています。
市は、適切に管理されていない空き家を把握し、助言や指導、勧告、命令などの措置を行う仕組みを整えています。
また、「空家等対策の推進に関する特別措置法」の改正により、今後は管理が不十分な段階でも「管理不全空家等」として指導の対象になり得ることが示されています。
相続した家を売らずに空き家のまま放置することは、こうした行政の動きとも深く関わる点を意識する必要があります。

このような状況の中で、名古屋市で相続した家には、「売る」「貸す」「持ち続ける(自分で使う・空き家として維持する)」という大きく3つの選択肢があります。
名古屋市では、一定の要件を満たす相続空き家を譲渡した場合に、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例措置が設けられており、令和9年12月31日までの譲渡が対象となっています。
一方で、売らずに賃貸として活用すれば、家賃収入を得ながら、将来の売却時期を柔軟に選べる可能性もあります。
本記事では、こうした3つの選択肢を比較しながら、とくに「売らない」選択肢の意味やメリット・デメリットを整理し、読者の方が自分に合った方針を考えやすくなることを目標とします。

選択肢 主な活用イメージ 検討時の主なポイント
売る 相続後早期の売却 相続税・特例適用
貸す 賃貸として運用 家賃収入・空室管理
持ち続ける 自宅利用・空き家維持 維持費・将来の方針

名古屋市で相続した家を売らないメリット

名古屋市で相続した実家に自分や家族が住む場合、まず住み慣れた地域で生活を続けられる安心感が得られます。
周辺環境や生活インフラが把握しやすく、通勤や通学、医療機関へのアクセスなど、日常生活の利便性を確保しやすい点も大きな利点です。
また、新たに住宅を購入したり長期で賃貸住宅を借りたりする費用を抑えられるため、住み替えに伴う初期費用や長期の家賃負担を軽減できる可能性があります。
このように、相続した家を活用して自ら居住する選択は、経済面と心理面の双方でメリットがあるといえます。

名古屋市で相続した家を貸す選択をすると、継続的な家賃収入を得られる可能性が生まれます。
家賃収入は、固定資産税や日常的な維持管理費の一部を賄う原資となり、手元資金の補填にもつながります。
さらに、相続した家を手放さずに貸しておくことで、不動産市況や税制、名古屋市の空家等対策の動向を見ながら、将来の売却時期を柔軟に判断できる点も強みです。
空き家として放置するのではなく賃貸活用を選ぶことで、名古屋市が進める空家等対策の趣旨にも沿いながら、資産としての家を生かしやすくなります。

相続した家を売らずに持ち続けることで、思い出の詰まった実家を次世代に引き継ぐことができます。
名古屋市では、適切な管理が行われていない空き家が地域の生活環境に影響を及ぼすとして対策が進められており、所有者には管理責任があるとされていますが、裏を返せば、きちんと維持管理することで地域の一員として家を守り続ける価値が生まれます。
また、相続登記の義務化や「現に所有している者の申告制度」などの仕組みを踏まえて整理しておけば、将来の相続や名義変更の場面でも手続きが進めやすくなります。
このように、売らない選択は心理的な満足感にとどまらず、家族のライフプランや今後の相続設計の選択肢を広げる効果にもつながります。

活用方法 主なメリット 将来への影響
自分や家族が居住 住環境の安心感 住み替え費用の抑制
賃貸として貸す 家賃収入の確保 売却時期選択の自由
管理しながら保有 実家の思い出の維持 将来の相続選択肢拡大

名古屋市で相続した家を売らないデメリット・リスク

名古屋市で相続した家を売らずに持ち続ける場合、まず意識しておきたいのが固定資産税や都市計画税などの税負担です。
固定資産税は毎年1月1日時点の所有者に課税され、名古屋市内に土地や家屋を所有する限り納税義務が続きます。
老朽化が進めば修繕費や日常的な点検費用も発生し、誰も住んでいない状態であっても一定の管理は欠かせません。
管理が不十分なまま空き家化すると、後述するような安全面や税制上の不利益につながるおそれがあります。

名古屋市では、空家等対策の推進に関する条例や空家法に基づき、所有者等に適切な管理を求めています。
長期間放置され、倒壊の危険や衛生・景観の悪化が認められると、「管理不全空家等」や「特定空家等」と判断される場合があります。
こうした空き家に対して勧告が行われると、その敷地は住宅用地の課税標準の特例から除外され、固定資産税や都市計画税の負担が大きくなる可能性があります。
単に誰も住んでいないだけでなく、日頃の見回りや庭木の手入れなどを怠ることが、結果として税負担増という形で跳ね返ってくる点には注意が必要です。

また、名義や相続手続を放置したまま家を持ち続けることにも大きなリスクがあります。
名古屋市では、土地や家屋の所有者が亡くなった場合に、相続登記が一定期間行われないと「現に所有している者の申告制度」に基づき申告を求められることがあります。
共有名義のまま長期間放置すると、相続人が増えて連絡が取りづらくなり、将来売却や活用を検討しても全員の同意が得られず手続きが進まない事態も想定されます。
相続登記の未了や共有状態の放置は、管理責任の所在をあいまいにし、トラブル発生時の対応を一層困難にする要因になります。

項目 内容 放置した場合の影響
維持管理コスト 固定資産税・修繕費の継続負担 家計圧迫・活用機会損失
空き家管理状態 雑草・老朽化・ごみ放置 特定空家等指定・税負担増
名義と相続手続 相続登記未了・共有のまま 売却困難・相続人間トラブル

名古屋市で「売る・貸す・持ち続ける」を選ぶ判断基準

まず、名古屋市内で「売らない選択」が向くかどうかは、立地や建物の状態、将来の利用予定を総合的に見ることが大切です。
公共交通の利便性が高く、需要の見込みがある地域で、一定の耐震性を備えた一戸建てや区分所有マンションであれば、貸す運用を含めて「持ち続ける」価値が高まりやすいです。
一方で、老朽化が進み、名古屋市が空家等対策計画で課題とするような、防災や景観面で支障が出るおそれがある住宅は、そのまま放置すると「特定空家等」と判断される可能性があり、売却や除却も検討すべき段階になります。
名古屋市では、老朽危険空家等の除却費補助金や、空家等対策条例に基づく指導なども行われているため、こうした制度の対象となるかどうかも、判断材料になります。

次に、相続人同士の話し合いと、今後の暮らし方の整理が欠かせません。
誰が実際に住むのか、しばらくは空き家として維持するのか、早期売却して相続分を分けるのかなど、希望を具体的に出し合い、感情論だけでなく費用や税負担を明らかにしていくことが重要です。
名古屋市では、所有者が亡くなった後も相続登記がされないまま放置されることを防ぐため、「現に所有している者の申告制度」を設け、相続人などに申告義務を課しています。
令和6年4月には相続登記が義務化され、申告を怠ると過料の可能性もあるため、相続人間の合意形成とあわせて、登記・申告の段取りを早めに進めることが、将来の売却や賃貸を円滑にするうえでも重要です。

さらに、将来の売却可能性や税制も見据えながら、どの選択肢を優先するか考える必要があります。
一定の条件を満たす空き家を売却した場合には、空き家の発生を抑制するための特例措置として、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度があり、令和9年12月31日までの譲渡が対象とされています。
また、土地についても、低未利用土地等の譲渡所得から最大100万円を控除する特例が令和10年12月31日まで設けられており、利用予定が乏しい場合は、こうした期限を意識して売却時期を検討することが欠かせません。
名古屋市は空家等対策計画や相談窓口を整備しているため、税制や補助金の活用も含めて相談しながら、「今は貸す」「数年後に売る」「老朽化が進む前に除却する」など、行動の優先順位を整理しておくことが、後悔しない相続住宅の活かし方につながります。

判断の視点 売る場合のポイント 貸す・持つ場合のポイント
立地・需要 需要薄なら早期売却検討 需要高なら賃貸活用余地
建物の状態 老朽化進行前の売却有利 耐震性確保で長期利用
税制・制度 3,000万円特例など期限意識 補助金や相談窓口の活用

まとめ

名古屋市で相続した家を売らない選択には、安心して住めることや家賃収入、思い出を守れるといった大きなメリットがあります。
一方で、固定資産税や修繕費、空き家化リスク、相続人同士のトラブルなど見逃せないデメリットもあります。
大切なのは、立地や建物の状態、家族の将来設計、資金計画を冷静に整理し、自分たちに合った選択をすることです。
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